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ひどうしき

2024.11.24 Sun 「 [PR]
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2008.02.29 Fri 「 よねんにいちどの。00
ねぇ、
今年はいつもより
一日多いんだよ。

2月29日。
つまるところのうるう年。

ふとそのことを思い出して小さく呟いたらすごく
怪訝な顔をされたけど。それでも「それがどうし
たんだ」と続く言葉を促すような視線に、ティエ
リアの手をそっととってにっこり笑みを向ける。


地上に届く暖かい日差しが僕は好きだけど、今、
僕らの居るここに、太陽のひかりは届かない。
いつが朝で何時間経つと夜になるのか、時間の境
目がひどく不明確な広い宇宙の狭い空間でふたり
きり。
今日は、特にミッションの予定もなく、トレミー
内に与えられた自分の部屋に大切な人をお招きし
てのんびりと過ごす。人工的な淡いひかりの下で
穏やかな空気が流れる。もともと僕は戦争とか兵
器とか、血の臭いを感じるような、そうゆうこと
がやっぱり嫌い、で。だから、ミッションのない
ときはしっかり休むという方針がそんな僕にとっ
てありがたかった。もちろん、そうも言っていら
れないのはわかってるつもりだし、自分で決めた
ことだから覚悟はしている、つもりだけど。


とにもかくにも、今の僕の隣には、綺麗な人がい
るから何がなんだっていいんだ。
普段は女の子みたいに中性的な顔ですまして、だ
れもかれもを引き付ける赤い瞳で睨み付けて、ど
こかとげのあるきつい言葉ばかりを話す唇だけど、
こうやってふたりでいるときはそっと閉じられて
いる。多少急な僕の招待も素直に受けてくれてい
るから、彼なりに僕と過ごす時間を好いてくれて
いるんだろう。
そりゃ、あくまで、僕の推測だけど。

たいていティエリアは本とにらめっこしてて、ふ
たりの間に会話はあんまりない。でも、別になく
てもいい。というのは、目を閉じて、彼が静かに
本を捲る音に耳を傾けて聴いているだけで心が休
まるから。それで本当にときどき僕が思い出した
ように話をすると、どんな内容にしろ、そのこと
に対して彼はちゃんと口角を上げたり下げたりし
てくれる。

「だからね、来年の今日がないんだと思うとこう
やって僕がティエリアの隣にいて、息をしている
ことも話しかけたりすることも手を繋いでいるこ
とも、今日すること、ひとつひとつが素敵なこと
に思えないかなって思って。」

どう?と再度にっこり笑ってみせると、ティエリ
アはちょっと思案した表情をしたけど、また本に
視線を戻してしまう。手はしっかりと握られたま
ま。それからまたしばらく彼が本を捲る音だけを
聴いていたら、小さく笑う声がした。

「悪くない。」

今まで読んでいた本にしおりを丁寧に挟んで膝か
ら自分の横に置くと、ティエリアは赤い瞳で僕を
見上げる。

近づく、綺麗な顔、


「きっと、四年後にも君はまたそう言うんだろうな。」





(ああ、)
(神様、僕に四年に一度のこの日を与えてくださって、)

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しいな 改め あかさか
なんとか若い。口癖は「どうにかなんないかなー」ブームが来たり来なかったりで更新の頻度が変わる。やっぱり睡眠第一。べーグルが大好き。
アニメをよく見ている。
今はヤッターマン、ソウルイーター、遊戯王5D’s、ガンダム00、カイバ、プリキュア。
あかさかはアニメを賛美する。